糖尿病とは

糖尿病って
どんな病気?

からだのしくみから、気づき方、治療まで。

01 エネルギー(糖)のしくみ

からだのエネルギー(糖)のしくみ

  • 食べもの炭水化物
  • ブドウ糖消化してできる
  • 血液で運ぶ血糖値=糖の濃さ
  • インスリン糖を取り込む合図
  • エネルギーに細胞が使う
食べもの(炭水化物)は消化されてブドウ糖になり、血液で運ばれ、インスリンの合図で細胞に取り込まれてエネルギーになります。
1. からだは細胞の集まり。細胞はブドウ糖でエネルギーを作る

私たちのからだは、とても小さな「細胞」がたくさん集まってできています。その数は数十兆個ともいわれます。

心臓を動かす、頭で考える、からだを温める。こうした働きはすべて、一つひとつの細胞がエネルギーを作って行っています。

細胞がエネルギーを作るときの主な燃料のひとつが、「ブドウ糖」という糖です。特に脳は、ブドウ糖を大切なエネルギー源にしています。

2. 食べたものはブドウ糖になり、血液で全身の細胞へ運ばれる

ごはん・パン・めん・いも・果物などに含まれる炭水化物は、消化されてブドウ糖になり、小腸から吸収されて血液に入ります。

血液は、全身をめぐって細胞に糖を運ぶ通り道です。この血液中のブドウ糖の濃さを「血糖値(けっとうち)」といいます。

ただし、血液に糖があるだけでは、細胞はそれを使えません。細胞に取り込まれて、はじめてエネルギーになります。

3. インスリンの合図で、筋肉や脂肪などの細胞が糖を取り込む

細胞は膜で包まれていて、ブドウ糖はそのままでは膜を通り抜けにくい性質があります。そこで働くのが、すい臓から出るホルモン「インスリン」です。

  • 食事で血糖が上がると、すい臓がそれを感じてインスリンを出します。
  • インスリンが筋肉や脂肪の細胞に届くと、細胞の表面に糖の「入口」が開き、糖が細胞に取り込まれます。
  • 肝臓では、余った糖をためておき、おなかがすいたときに少しずつ血液に戻します。

インスリンは、細胞に糖を取り込ませる「カギ」のような役割をしているのです。

4. 血糖は、インスリンと肝臓の働きで、ちょうどよく保たれている

食事をすると血糖は上がります。するとインスリンが働いて糖が細胞に取り込まれ、血糖は下がります。

食事をしていないときは、肝臓が糖を出して、血糖が下がりすぎないようにします。

こうして血糖は、一日の中で上がったり下がったりしながら、ちょうどよい範囲に保たれています。

5. 糖尿病では、インスリンが足りない・効きにくいため、糖が血液に残る

糖尿病は、このしくみがうまく働かなくなる病気です。主な理由は2つあります。

  • インスリンが足りない:すい臓からインスリンが出にくくなる、またはほとんど出なくなる。
  • インスリンが効きにくい:インスリンは出ていても、細胞が反応しにくくなる。

どちらの場合も、糖は細胞にうまく取り込まれず、血液に残ってしまいます。こうして、血糖が高い状態が続くのが糖尿病です。

血液には糖がたくさんあるのに、筋肉や脂肪などの細胞は糖をうまく使えません。「燃料はあるのに、エンジンに届かない」状態です。

  • ふだんインスリンの合図で、糖が筋肉や脂肪などの細胞に取り込まれる
  • インスリンが足りない合図が少なく、糖が血液に残る
  • インスリンが効きにくい合図はあっても入口が開きにくく、糖が血液に残る
6. 血糖が高い状態が続くと、症状が出て、血管が少しずつ傷ついていく
  • 血液の糖が多すぎると、腎臓で取り戻しきれなくなり、尿に糖が出ます。そのとき水分も一緒に出ていくため、尿が多くなり、のどが渇きやすくなります。
  • 細胞がエネルギー不足になると、からだは代わりに脂肪や筋肉を分解して使います。そのため、食べているのに体重が減ることがあります。
  • 血糖が高い状態が長く続くと、全身の血管が少しずつ傷つきます。これが、目・腎臓・神経などの合併症につながります(「合併症」の章へ)。

02 糖尿病の種類

糖尿病にはいくつかの種類があります

1型糖尿病 ― 生活習慣とは関係なく起こります

主に自己免疫などが原因で、すい臓からインスリンがほとんど出なくなります。子どもでも大人でも起こり、原則としてインスリンで治療します。のどのかわき、水をたくさん飲む、尿が多い、体重がへるといった症状が急に出ることが多いので、症状があれば医療機関を受診しましょう。

2型糖尿病 ― 日本の糖尿病の多くはこのタイプ

生まれつきの体質に、生活習慣や社会環境などが重なって、インスリンの働きが弱くなったり、出にくくなったりします。太っていなくてもなることがあります。

そのほか ― 妊娠糖尿病など

妊娠中に血糖が高くなるものや、ほかの病気や薬が原因のものもあります。

03 気づき方と受診の目安

はじめは、気づきにくい病気です

2型糖尿病では、はじめは症状がほとんどないことが多く、気づかないうちに進むことがあります。だから、40歳になったら、年に1回、健診を受けましょう。血液検査の「空腹時血糖」や「HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)」でわかります。

  • 空腹時血糖:10時間以上食事をしていない状態ではかった血糖値
  • HbA1c:採血前1〜2か月の血糖の平均的な状態を表す値。直前の食事の影響を受けません

のどの渇き、尿が多い、体重が減るなどの症状があれば、年齢にかかわらず医療機関を受診しましょう。

受診の目安

空腹時血糖126mg/dL以上、またはHbA1c6.5%以上の場合、すぐに医療機関を受診し、医師の診察や検査を受けましょう。

出典:厚生労働省

04 合併症と予防

合併症と、その予防

治療を始めなかったり、途中でやめたりして、血糖が高い状態が長く続くと、合併症が進みます。

細い血管の合併症

  • 神経障害:進行すると、足の潰瘍・壊疽につながることがあります
  • 網膜症(目):進行すると、失明につながることがあります
  • 腎症(腎臓):進行すると、腎不全・透析につながることがあります

太い血管の合併症(動脈硬化)

  • 進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などにつながることがあります
  • 高血圧や脂質異常症があると、さらにリスクが高まります

歯周病とも、おたがいに悪い影響をあたえあいます。

治療を始めたら、症状がなくても治療を続けましょう。

定期的に受診して、HbA1cの値や合併症の状態を確かめることが大切です。血糖・血圧・脂質などをよい状態に保てば、合併症は防いだり、進むのをおさえたりできます。

05 治療

治療 ― 食事・運動・薬物療法

糖尿病と診断されたら、医師と相談しながら治療を始めることが大切です。

食事療法

体格に合わせた食事の量や、栄養のバランスに気をつけます。食べ方や食事の時間を工夫することも大切です。

運動療法

医師と相談して、種類・強さ・回数を決め、続けて行います。有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせると効果的です。

薬物療法

インスリンの分泌や働きを助けたり、糖の吸収や排出を調節したりする薬を、飲んだり注射したりします。

  • 2型糖尿病では、まず食事や運動など生活習慣の見直しから始め、状態によって薬を使います。薬を使っていなくても、食事療法や運動療法は大切な治療です。
  • 1型糖尿病では、原則としてインスリンで治療します。

06 日本では

日本では

約1,100万人

2024年の国の調査で「糖尿病が強く疑われる人」と推計された人数です。

出典:厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」

07 今日からできること

からだのために、今日からできること

  • 野菜もとりいれた、バランスのよい食事
  • からだを動かす習慣(歩く、外で遊ぶなど)
  • たばこを吸わない
  • 年に1回の健診
  • 歯みがきと、歯科での定期的なチェック

08 だれにでも起こりうる病気

「だれにでも起こりうる病気」です

糖尿病は「生活習慣のせい」「自己管理ができていない」と誤解されることがあります。でも実際には、体質や年齢など、本人にはどうにもできない原因もたくさんかかわっています。

糖尿病のある方が、安心して治療を続け、自分らしく暮らせるように。まわりの理解が大きな力になります。

09 糖尿病とともに暮らす人たち

糖尿病とともに暮らす人たち

治療の方法や必要な支援は、一人ひとり異なります。それぞれの生活に合った工夫やサポートを取り入れながら、大切にしている時間を過ごす人たちをご紹介します。

Aさん|インスリン治療を続けながら、仕事と趣味を楽しむ

Aさんは、仕事をしながらインスリン治療を続けています。勤務時間や食事の時間に合わせた治療、自己注射の方法について医療者と相談しています。職場では上司や産業医などの協力を得て、注射や血糖確認のための場所と時間を確保できています。低血糖が起きたときの対応も、必要な範囲で同僚と共有しています。休日に趣味を楽しむことが、生活の楽しみになっています。

Bさん|透析に通いながら、家族や友人との時間を大切にする

Bさんは、定期的に透析に通っています。通院や治療の後は疲れやすく、予定どおりに過ごせない日もありますが、家族と家事を分担し、体調に合わせて外出や休息の予定を調整しています。通院や医療費の負担については病院の相談員に相談し、利用できる制度を活用しています。友人と会って話す時間も大切にしています。

Cさん|見えにくさを補う工夫を取り入れ、新たな楽しみを見つける

Cさんは、糖尿病による目の病気で、文字や物が見えにくくなっています。文字の拡大や音声読み上げ、道具を触って見分ける工夫など、見え方に合った方法を専門家と相談しながら取り入れています。点字も少しずつ習い始めました。薬や血糖値の確認、外出など、一人では難しい場面では周囲の支援を受けています。

以前は読書や映像を楽しんでいましたが、今は耳で聴く本や音楽、風や季節の香り、手で触れるものの感触にも楽しみが広がっています。見えにくさへの戸惑いや不便を感じることもありますが、自分のペースで、これまでとは違う角度から日々の楽しみを見つけています。

※Aさん・Bさん・Cさんは架空の人物です。暮らし方や治療、利用できる支援の一例を紹介しています。

10 動画・もっと知りたい方へ

動画で見る

  • 糖尿病は誰でもなりうる病気

    厚生労働省・約3分

  • 糖尿病と付き合うために

    厚生労働省・約3分

  • 啓発人形劇「スマイルスマイルライフ」

    日本糖尿病協会

もっと知りたい方へ